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2009/06/28

執筆者: Fukurou (5:18 pm)


 大変久しぶりに、ジャーマン・フルートとの出会いがありました。

 前回のジャーマン・フルートとの出会いは、2007年7月で、シリアル番号が1100番台のヨハネス・ハミッヒ、スイスの友人の紹介で手に入れたものです。総銀製で、頭部管には表面の錆を防ぐために微少のパラジウムが混合されているものでした。また、リッププレートはホワイト・ゴールド製でした。極上の逸品で、多くの方々に興味を持って戴き、購入に向けて検討して戴いていましたが、今年の4月にお買い上げ戴きました。

 ジャーマン・フルートに関しては、ヘルムート・ハミッヒかヨハネス・ハミッヒに焦点を絞って極上の逸品を探してきました。しかし、ヘルムート・ハミッヒについては400本程しか製造されていないため、まず手に入れることは困難です。また、ヨハネス・ハミッヒについても、2000本程度しか製造されていません。状態の良いものは、なかなか手に入れることができないのです。

 そのような訳で、この数ヶ月はジャーマン・フルートが手元にない状態でしたが、タイミング良く、素晴らしいヨハネス・ハミッヒを手に入れることができました。ドイツの友人からの紹介でした。

 シリアル番号が1300番台の逸品です。総銀製ですが、リッププレートは18K金製で、イエロー・ゴールドの大変珍しいものです。音孔はソルダード式によるものです。Eメカ、G-Aトリル・キー付で操作性にも配慮された楽器です。

 いつものように、友人に渡しているチェック・リストを全てパスしたもので、しかも友人の試奏による評価は高いものでしたので、まずは入手しました。

 届いてすぐに試しましたところ、その音色の素晴らしさに加えて反応の良さ、管体の響き、そして445Hzで製作されたピッチのバランスも大変優れていました。手元に置くことを即決したのは当然です。


 近々、「ジャーマン・フルートの詳細」を更新しますので、ご期待ください。

 ヨハネス・ハミッヒに加え、ヘルムート・ハミッヒを是非入手したいと考えています。

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2009/06/21

執筆者: Fukurou (11:27 am)


 トラヴェルソの販売を始めて2ヶ月が経ちました。多くの方々に興味を持って戴き、大変嬉しく思っています。また、試奏を通して高い評価を戴き、大変励みになっています。

 短期間の間に多くのトラヴェルソ製作家の作品に触れましたが、ピエール氏ボアズ氏の作品には、特に楽器としての性能の高さと仕上げの丁寧さ、造形の美しさに魅了されました。そして、お二人の日本での代理店を務めることになったのです。

 最初は、ピエール氏のマルタン・ロットとG.A.ロッテンブルグ、そしてボアズ氏のトーマ・ロットのモデルを試奏用として備えました。また、他のモデルについてもお二人には用意してもらうことになりました。
 今回、ボアズ氏のステインズビー・ジュニアのモデルが届きましたので紹介します。 

 まず、トラヴェルソのソフト・ケースに関しては、ピエール氏とボアズ氏とでは異なっており各々特徴があります。以前、ブログでも紹介しましたが、ピエール氏のソフト・ケースは、装飾をあしらった美しい布でトラヴェルソを包む形を採っています。一方、ボアズ氏の場合は、1本の替管を含めて4つのパーツを収納できる仕切りが用意されている形になっています。


 ステインズビー・ジュニアは、父の工房を引継ぎ、17世紀後半から18世紀中頃までロンドンで活躍した著名なトラヴェルソ製作家です。届いたのは、1730年頃に製作されたものの復刻版です。グラナディラで作られ、ピッチは415Hzです。大変明るく引き締まった音色で、ピッチ・バランスも大変良い楽器です。既に数名の方に試奏して戴いて高い評価を戴きました。是非、多くの方々に試して戴きたいと思います。


 今後、ピエール氏からは7月下旬頃にJ.デナーとG.A.ロッテンブルグ(柘植製)が届く予定です。また、J.J.クヴァンツのモデルも計画してくれています。ボアズからもノーズのモデルが届く予定です。他のモデルも是非試してみてください。
 
 さて、ピリオド楽器の祭典は世界各国で開かれていますが、毎年ボストンで開かれている「Boston Early Music Festival」には多くのファンが集まります。オペラやコンサート、公演やパネル討論、そして展示会など様々な催しが用意されます。
 今年は、6月6日から6月21日までの開催です(スケジュールをご覧ください)。展示会には、ピリオド楽器の製作家達が集まります(参加者リストをご覧ください)。
 実は、昨日ピエールから連絡があり、ボアズと会って情報交換をしたとのことでした。数ヶ月前から、二人からはボストンで開催される展示会に向けて準備を進めていることを聞いていましたのでびっくりしませんでしたが、私との関わりを通してお互いに興味を持ち、直接会って話しをしたことを聞いて大変嬉しく思いました。また、特にトーマ・ロットとマルタン・ロットの比較について議論された内容は大変興味深いものでした。歌口やトーン・ホールのアンダーカットなどについても言及されていました。

 これから、この二人が、様々な情報を交換を通して益々優れた作品を残してくれることを期待しています。

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2009/06/13

執筆者: Fukurou (5:00 am)


 フルートを肩から提げて歩いている人を多く見かけるようになりました。持ち運びが手軽なことや、美しい音色、また大変奥深い楽器であることなどが要因かもしれません。

 持ち運び易いと言っても、特にキーが多いベーム式フルートには大変気を使います。管体を傷つけないためのケアーやキーが狂わないための収納など、ケースそのものの構造にも注意を払いますが、加えてケースを収めるケース・カバーにも意識を向ける方も多いのではないでしょうか。

 ところで、ケースにおいては、安全にフルートを収納することは最低限必要ですが、その他に大きさや形状、材質など、ケースの扱い易さやデザインそのものも重要な要素です。

 安全性については、特にケース内部の仕切りには十分気をつけたいものです。木の無垢材をくり抜いて作られたケースを見ることがあります。確かに質感があって非常に良いとも思うのですが、内部の仕切りに問題があると感じています。仕切りがごつごつとしていて、何らかのショックが加わった場合、仕切りによって損傷するかもしれません。また、重いことや滑りやすいことも問題になりそうです。
 
 デザインについては、最近販売されているフルートのケースで魅力を感じるものは殆どありません。皮革の品質が悪いせいか、ビニールのように光ってツルツルのものも非常に多いと感じます。また、やたらと大きく無骨なものもあります。
 その点、ルイロットやオールド・ヘインズのケースは大変魅力的です。まず皮革の品質が高く、質感と美しさを感じます。また、ケースの大きさにも十分考慮しているのでしょうか、無駄がなく非常に小さく出来上がっています。薄くて平たい形状も特徴的です。ルイロットにおいては、鍵を有しているものもあり、鍵は立派な装飾品としても十分通用する程魅力的です。
 ケースそのものをとっても、ルイロットやオールド・ヘインズなどの逸品と比較すると、現代フルートのものは大変見劣りします。

 ケース・カバーや持ち運ぶための鞄についても気を配りたいものです。
 ケース・カバーについては、衝撃を吸収できる材質を求めたいですし、鞄に収納せずに直接持ち運ぶ場合もあり、肩から提げるなどの機能的要素も求める場合があります。
 ケース・カバーや鞄、あるいは両面性を有したものには様々販売されており、TPOに応じて選ぶのも楽しいものです。キャバレロ、ギャラックス、ナホック、M's、グローバルなど良いものが多数販売されていますので紹介します。

 キャバレロのカバー・ケースは、ケースを保護する最小限の要素を有し、鞄などに収納して運ぶ場合は大変利便性が高いと思います。また、ギャラックスの場合は、手提げや肩から提げる機能を有しているため、気軽に持ち運ぶ場合は便利です。デザイン性を求める場合は、ナホックやM'sは面白いと思います。ナホックはカラー・バリエーションが非常に多く、比較的カジュアルですし、M'sの場合は落ち着きのあるデザインです。これらは、いずれも鞄としての要素も兼ね備えていますので気軽に持ち運ぶ場合は便利ですが、ギャラックスの場合と同様、基本的にはフルートのみを収納することを想定しています。また、ソフトケースですので、衝撃からの保護には弱いと思います。同じく、フルートのみの収納を想定したものですが、ハード・ケースとして提供しているものにグローバルがあります。カラー・バリエーションも多く、男女問わず使えると思います。
 以上、代表的な例の写真を以下に掲載します。


 以上紹介したものは、ケース・カバー単体か、あるいはフルートのみを収納できる鞄でしたが、楽譜も同時に収納したい場合多々あるかと思います。私は、そのような時は、アタッシュケース型のハード・ケースを常用しています。H管用ケースとB4までの楽譜がすっぽり収まるため、非常に便利です。ゼロハリバートンのアタッシュケースなども良いかも知れませんね。

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2009/06/06

執筆者: Fukurou (7:37 am)


 フルートに慣れ親しむようになると、プロのフルーティストは勿論ですが、アマチュアのフルート愛好家にとっても、求める音楽表現を実現するために、楽器としての性能以外に音色や反応などの特性も求めるようになるでしょう。

 一言でベーム式フルートと言っても、この160年程の間に、様々な製作家やメーカーによって多くのフルートが製作されてきました。
 ワインや日本酒、焼酎などワイナリーや酒蔵によって、また同じワイナリー、酒蔵でも年によって味が異なります。フルートについても同じことが言えます。年月を経て、製作家やメーカーが求める音色の傾向が変わったと感じますし、また製作家やメーカーによって音色は大きく異なります。

 音楽表現は演奏家によって異なりますし、求める音色も違います。ですから、ぴったりと合うと感じるフルートもまた異なるでしょう。また、一人の演奏家においても、演奏する楽曲や演奏する会場、聴衆などによって、更にその日のコンディションによっても手に取るフルートが異なっても不思議ではありません。
 お酒にしても食事にしても、好みはあってもその日その日によって味わいたいものは変わると思います。お寿司が好きな人、ステーキが好きな人、など様々ですが、毎日お寿司やステーキでは飽きてしまいます。フルートもまた同じだと思います。

 最近トラヴェルソを嗜むようになりましたが、その思いはベーム式フルートよりもむしろトラヴェルソの方が強く感じるようになりました。バロックやクラシック、ロココなどの様式に応じて、各々の時代に特徴的であった楽器を選びたいと思うようになりました。フランスやイタリア、ドイツ、イギリスなど、地域による音楽スタイルは異なりますので、各々に合った楽器を使いたいものです。
 とは言っても、キリがないことと、自分が好む音色がある程度定まっていることで、常に使う楽器を定めて、せいぜい2、3本の楽器を使い分けるようにしています。

 ベーム式フルートの場合も殆ど同じ考え方です。何度かブログでも紹介しましたが、現在は師事する先生から譲り受けた1988年製のヘインズを主に使い、総銀製のルイロットと木製ルイロットを使い分けています。

 ちなみに、生涯1本のフルートを使い続けた偉大なるフルーティストがいます。フランス国立放送管弦楽団の主席奏者として活躍したフェルナン・デュフレーヌです。一生涯、このオーケストラ奏者として活躍し、ソリストとしての活動は行わなかったようです。その為、アルルの女(間奏曲)やカルメン(前奏曲)のようにソロとして聴くことができる音源は非常に少ないのです。パリ音楽院在学中に手に入れたルイロット(シリアル番号9402)を一生涯使ったことは有名です。
 フェルナン・デュフレーヌの例は非常に稀なような気がします。現在活躍しているプロのフルーティストを何人か思い浮かべてみても、スペア楽器として持たれている場合は別として何本かを使いこなされているようです。アマチュアの私さえ、常に使うもの以外に使い分けたい楽器を持ちたいと思うのですから。

 皆さんは、何本のフルートが必要ですか? 

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2009/05/31

執筆者: Fukurou (7:41 am)


 技術革新が進むにつれて生活が大変便利になりました。日常の生活では、冷蔵庫や洗濯機、掃除機などのいわゆる白物家電があるおかげで、自由になる時間が多く取れるようになりましたし、未だに最新技術が取り入れられているため益々便利になって行きます。
 テレビやオーディオなどの娯楽の世界でも大きく変わりました。テレビにおいては、益々画面が大きくなって自宅で映画館のような体験を持つことができますし、また地上波ディジタル放送やハイ・ビジョンの登場によって、画質が向上しました。今後は、好きな時間に好きな番組を観る事ができるようになるでしょう。
 これらの電化製品は、新しい程魅力はどんどん増して行きます。

 一方、芸術の世界においては、時として新しいものの方が魅力的に感じるような錯覚を覚えることがありますが、一般的に年代には依存しないと思います。

 例えば、過去の演奏を聴く場合、当然何かの記録媒体を通じて聴くしか手立てはありませんが、録音技術の良し悪しによって演奏(性格には録音媒体)の良し悪しを判断してしまう場合もあるかもしれません。モノラルのレコードへの録音など古い録音の場合、パチパチと雑音が伴いますので、それが耳障りだと感じる方も多いかもしれません。しかし、演奏そのものに感銘を受けることも大変多く、聴けば聴くほど雑音などはあまり気にならず、その録音媒体の評価はどんどん高まって行くものです。

 スポーツの世界において、人間の身体能力の向上によって年月が経つにつれて記録が更新されるように、楽器の演奏においても演奏技能は向上しているかと思います。しかし、音楽の解釈と感情を注入された表現は、歴史的な演奏を超えられない場合も多々あると感じています。楽器としてのフルートの性能についても、ベーム式フルート(円筒型)が考案されて160年程経った今も殆ど進歩していませんし、それどころか逆に本来の良さをなくしてしまっているケースも多いと感じています。

 幸い、まともな逸品は少ないものの、ルイロットなどのヴィンテージ・フレンチ・フルートの名器は現在も手にすることができますし、適切な演奏方法によって当時に奏でられたと思われる音色を発することができます。一方、歴史に残る名演奏は、それが記録された記録媒体からしか聴くことができません。

 ゴッドフロイやルイロットなどのヴィンテージ・フレンチ・フルートを用いた名演奏を色々と聴きたいものですが非常に限られています。
 以前にもグログで紹介しましたルイロットに関する資料の一つ「フランスの偉大なフルート製作家たち(トゥーラ・ジンニーニ著)」に、ルイロットを愛用した演奏家の例が記載されています。アンリ・アステルやルイ・ドリュス、ポール・タファネルなどは1800年代の中頃から後半にかけて活躍しましたが、初代ルイ・エスプリ・ロットを使用していました。ポール・タファネルの場合、シリアル番号が439番のものや2104番のものなど複数使ったようで、2104番のものの写真は同書に掲載されています。
 これらの楽器を使った演奏を是非聴きたいものですが、残念ながら記録がないようです。

 しかし、幾つかの歴史に残るフルート演奏は記録として残っており、これらを聴くと大変感動を覚えます。
 ルイロット・フルートでは唯一の総金製フルートであるシリアル番号1375の逸品は、トゥルーの弟子であるジャン・レミュザを経てJ.P.ランパルの手に渡りました。J.P.ランパルは、1950年代にこの楽器を使って演奏を行っていました。この楽器を用いた演奏の最後の録音は、マリナー&アカデミー室内管弦楽団と競演したJ.S.バッハのブランデンブルク協奏曲集(Philips 464 020-2)とされています。このCD以外にも、幾つかの貴重な録音記録が残っており、録音状態は良くないものの、素晴らしい音色と演奏には心を打たれます。

 当店のウェブ・サイトでも幾つかを試聴することができますが(ユーザー登録が必要です)、以前紹介しましたように、YouYubeでも聴くことができますので、是非お楽しみください。

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